甲州光沢山青松院


【心の杖言葉】

「時時の初心忘るべからず」
― 花鏡 ―

 人口に膾炙した言葉では「初心忘るべからず」ですね。結婚式での新郎新婦へのスピーチなどでよく耳にします。が、能という芸術を求道した世阿弥は、未熟な時は未熟なりの初心、熟練者は熟練者の初心、あくまでもステージ、ステージにおいての初心を説きます。初心はコロモ偏に刀とこころ。過去、シガラミをバッサリ断ち切り、新たな生命への出立です。
 「あらた」は「生らた(アラタ)」が起源とも。世阿弥は、老後の初心忘るべからず、とまで言っています。

命には終わりあり、能には果てあるべからず

 求道者としての世阿弥の面目躍如です。禅仏教でいう「而今」「全機」とも無縁ではありません。

(令和5年1月)




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曹洞宗光沢山 青松院

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